英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

13.発音の取り扱い方

発音の習得には、メリットとデメリットの両方があります

 


最初に、日本人の発音でも世界では十分に通用しているという事実があります。日本人で英語が通じない場合、発音よりもその内容(単語や文法の正しさ)に問題がある場合がほとんどです。また、世界中の非ネイティブをみても、完璧な発音の人はまずいません。中国人、インド人、シンガポール人の英語には独特の癖があります。ヨーロッパ系のドイツ人、イタリア人、フラン人の英語でも、英語を聞けば、どこの国の出身かわかります。それくらいに、英語の発音には母国語の発音が影響します。またその影響を無理に排除する必要はありません。逆に英語の発音がきれい過ぎるとだと、英語が「この人は英語が話せる」と勘違いされます。そして容赦ないスピードの英語を浴びせかけられることになり大変苦労します。日本人がネイティブの発音を完璧にマスターしようというのは、完全にムダとは言いませんが、費用対効果は低いことに変わりはありません。

<発音をトレーニングする気がない人のための発音法>

日本人の英語の発音には、癖があります。この癖を意識するだけでも相手が聞きやすくなります。

  ・母音が強過ぎる

  ・「H」と「F」、「B」と「V」、「S」と「SH」、「L」と「R」、「S」と「TH」が区別されていない。

また、他にもたくさんの癖がありますが、大きな問題にはなることはほとんどありません。つまり、子音を強く発音して、(日本語に無い)音を区別して発音すれば、それだけで通じる確率は高くなります。

しかし、「ある程度正しい発音」を練習しておくことは、長い目で見て英語力の向上に役立ちます。

<正しい発音方法をマスターすると良いこと>

①リスニング力がアップ

 リスニング力とは、文字と音を頭の中で結び付ける力です。その時に、正しい音を覚えてなければ、何回聞いても頭の中の文字とは一致しません。正しい音を自分で発音できるということは、音が区別できている状態です。音の区別ができていると、耳から入ってくる音もスムーズに分類することができます。

また、日本人泣かせの、単語と単語の音のリンクも、発音のルールを知っていれば、「繋がった音」や「飛ばされた音」を推測することができます。

②英語に自信が持てる

 日本人の自信の無さは、「発音の正しさ」と「文法の正しさ」の両方からきています。英語を話していて、何度も聞き返されると、どうしても話す勇気が無くなります。そのときに発音だけでも自信がつけば、文法的なミスに注意するだけでよくなります。

③音からスペルが推測できる

 初めて耳にする単語でも、スペルの推測ができれば、意味もある程度推測することができます。また、後でそれを聞いたり調べたりすることができます。

また、分からない英単語を聞いたとき、「そもそも知らない単語」なのか「知っているけど発音が分からない単語」なのかを区別できるようになります。これがわかるだけで、心にゆとりを持って会話をすることができます。

<発音のトレーニングをする前に>

一般的に日本人は英語の発音が苦手です。英語の発音には、日本語に無い音が多くは言っているからです。例えば、「F」「V」「TH」などです。また、「L」や「R」の音は、日本語のラ行に似ていますが違う音です。これらの音は、大人になってから勝手に身につくことはありません。意識して矯正する必要があります。どれくらい時間がかかるかは人それぞれですが、3ヶ月ほど意識的にトレーニングすれば正しい発音方法が身につきます。皮肉な話ですが、学校の英語の授業や受験勉強で、「音読」をほとんどしてこなかった人ほど、発音の矯正に時間が掛かりません。これまでに発声された回数が圧倒的に少ないからです。

<どのレベルまで発音のトレーニングをするのか>

発音と言っても、様々なレベルがあります。それを大きく分けると下の4つになります。

 ①正しい発音方法を知っている

   ・・・最低限のルールは知っておく必要があります。

 ②正しい発音を聞きわけることができる

   ・・・リスニングが楽になります。

 ③正しい発音を使い分けることができる

   ・・・相手の負担が随分楽になります。

 ④正しい発音がネイティブのように使える 

   ・・・ここまで目指すメリットはあまりありません。

日本人は、発音の練習と言うとすぐに④ネイティブ発音をイメージしますが、その手前のレベルで十分な場合もあります。どのレベルまで目指すかは、その人の英語を使う目的次第です。費用対効果を考えて選んでください。

<発音の練習方法>

 発音矯正の基本も、正しい方法をマネすることです。特に発音矯正の学校に通う必要はありません。CD付きの教材、DVDの教材も豊富にあります。また、Youtubeには無料の動画もアップされています。(教材は日本語の説明がある方がわかりやすいです。)

実際に自分の声を録音して聞いてみることも重要です。パソコンやスマホで録音して、それを自分でチェックをすれば、先生は不要です。

正しい発音方法が理解できたら、あとはもうひたすらトレーニングです。頭を使う必要はありません。これまでに発音してきた古い音の回数を、短期間で上回る回数のトレーニングが必要です。発音矯正は喉が痛くなりますが、これまでに使っていなかった口の使い方をしている証拠です。また、それくらいやらなければトレーニング効果はありません。

<発音記号>

 発音を練習する人もしない人も、発音記号だけは理解した方が良いです。英語はスペルと発音が一致しない単語が非常に多くあります。その時に、頼りになるのは発音記号だけです。発音記号を見慣れていない人には、取っつきにくいのは確かですが、数は多くはありません。発音記号を意識するだけでも、リスニング力の向上に繋がります。

<発音矯正の期間>

 発音の矯正は集中的に行う必要があります。正しいフォームが定着するまでは、すぐに元の発音方法に戻ってしまうからです。そのため、発音の矯正中は、実践的な会話練習は控えた方が良いと思います。

<発音矯正の時期>

発音はいつでも矯正することができます。会話のトレーニングを積む前にもできますが、ある程度、会話ができるようになってから矯正することがポイントです。逆のような気がするかもしれませんが、極めて大事な順番です。それはなぜかというと、発音を矯正するよりも、会話ができるようになることの方が、はるかに難しいからです。泳げる人のフォームを改造するのは難しくありませんが、泳げない人を泳げるようにすることはかなり大変です。また、最初からキレイなフォームを意識し過ぎると、泳げるようにもなりません。とりあえず、多少荒くても良いから、まずは泳げるようになることです。

<発音矯正終了後>

一つ一つのアルファベットや単語がしっかり発音できるようになってからも、文を読むときは注意が必要です。以前の発音が出てきてしまうからです。そうならないためには、どんな時も「無意識に」正しい発音ができるように練習をする必要があります。人により練習必要な時間は異なりますが、6ヶ月以上は覚悟が必要です。その間、他のトレーニング(音読やシャドウイング)を一緒に行ってもよいのですが、常に発音を意識しなければなりません。

<発音を練習する人の注意点>

 ・ネイティブを意識し過ぎた「ねちねち」発音は嫌われます。

  ・・・留学経験者の女性は注意

 ・発音を意識し過ぎると、話せなくなります。

  ・・・特に発音矯正中はあきらめが必要です。

 ・発音は向き不向きがあって、全然上達しない人もいます。

  ・・・音痴な人、頑固な人、耳が遠い人

<重要なポイント>

  ・日本人の発音でも十分通じる。

  ・ほどほどに正しい発音ができることのメリットは多い。

   (リスニング、自信、未知の単語への推測力)

  ・発音を矯正するなら、話せるようになった後。

  ・発音にこだわり過ぎると、逆効果にもなる。