英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

6.英単語の取り扱い方Ⅰ

英単語は目的に合わせて効率的に身につけます


 ほとんどの日本人は、「語彙力=英語力」だと思っています。大学生も受験勉強の時に、大量の英単語を暗記したはずです。しかし、読む力は語彙力に比例しますが、話す力は語彙力には比例しません。10000語覚えようが、20000語覚えようが、使えないと話せません。語彙力は点数化しやすいため、日本人は頑張って覚えようとします。しかし、一生に一度も目にしない単語さえも必死に覚えようとします。その非効率な時間の使い方が英語習得のネックになります。

日本語でも、読めない漢字はたくさんあります。目にふれた英語を全て覚えようとしてはいけません。

①必要な語彙数は目的により異なります。

  旅行 1000語未満

  英会話 2000語~3000語

  ビジネス英語 3000語+α

  受験勉強 3000語~5000語

  TOEIC900点 5000語~8000語

  英検1級 10000語~

必要な単語の数は、その人の目的により全く異なります。旅行を楽しみたい人が5000語も単語を覚える必要は無いのと同じように、英会話を何とかしたい人が10000語レベルの単語を覚えることに意味はありません。

日本人は試験勉強を基準にして英語を勉強してきました。即ち、「英語力=語彙力」という考えです。これはもともと「語彙力=読解力=試験の点数」、という関係からきているものと思います。

この「英語力=語彙力=読解力=試験の点数」という式が成り立つのは、英語力は試験の点数と比例する時だけです。英会話にこの式はあてはまりません。

「読む」ための語彙と「話す」ための語彙の数はアンバランスです。

英文スラスラ読むためには、できるだけ語彙を増やす必要がありますが、英文をペラペラ話すためには、少ない語彙を使い回す必要があります。語彙が多いと、話す時に言葉の選び方に迷いが生じますます。これが話せなくなる原因の一つです。単語を暗記することが好きな日本人は、特に注意すべき点です。

2000ピースのパズルも完成できないのに、いきなり10000ピースに挑戦しても失敗します。

英単語や表現を覚えるときは、使用頻度に注意します。

大学入試やTOEICでは、頻繁に出題される単語を覚えた方が高得点につながります。そのため、「試験にでる順」「よく出る」というようなタイトルの単語帳が多く売られています。勉強する人も、わざわざ、試験に出ない単語を覚えようとは思わないので、頻度系の単語帳は人気があります。

ところが、英会話になるとこの「頻度」のことを意識している人はガクンと減ります。会話なので、試験で使われる単語とは違いますが、「会話によくでる順番」というものははっきりと存在します。そして、よく出てくる単語を覚えた方が、英会話力に役立ちます。

<使用頻度の高い単語のメリット1 : 通じやすい>
実際によく使われている単語であれば、相手にとっても自然なため通じやすくなります。一部の日本人に、論文でしか使わないような単語を、会話の中で使うクセの人がいます。本人は格式高い英語を話しているつもりですが、相手にとっては聞きづらくて嫌がられます。これはコミュニケーション上、問題になります。ただでさえ、発音や文法に怪しいところのある日本人が、難しい単語を使う必要はありません。相手が非ネイティブのときは、使用頻度の低い単語(難しい単語)は、通じないリスクの方が高くなります。

 「よく耳にする単語以外は口にしないこと。」

<使用頻度の高い単語のメリット2 : 覚えやすい>

使用頻度の高い単語というのは、中学、高校までに習ったものがほとんどです。それ以外でも、実際に出くわす回数が多い単語になります。どこかで出会った「馴染みのある単語」と言えます。まだ意味をしっかり理解していなかったり、会話での使い方を知らなかったりするときでも、「馴染みのある単語」であれば、習得することはそれほど難しくありません。

 「よく耳にする単語を使えるようにすること。」

<使用頻度の高い単語のメリット3 : 汎用性が高い>

使用頻度が高い単語は、ほとんど基本単語です。基本単語のため、基本的なコミュニケーションで役立ちます。また、複数の意味があり、使い方もいろいろあるため、基本単語だけで、ほとんどの会話は成り立ちます。実際に、英語の会話の90%は、使用頻度の上位3000語で成り立っています。非ネイティブがアウトプットする単語は、さらに少なくても問題ありません。上位の2000語くらいで十分だと言う先生もいます。

 「よく使う単語だけで言えるようにすること。」

「使用頻度を常に気にすることは難しいのでは?」

 出会う単語の使用頻度を全て確認する必要はありません。基本は中学英語です。それに高校で習った英語を加える部分が、トップの3000語になります。使用頻度を意識する為には、「初めて見た単語は調べない」覚悟が必要です。出会った単語を全て覚えようとすると、使用頻度も何もなくなってしまいます。3回くらい出くわして、「よく見る単語だな、何て意味だろう」という気持ちになった時になって辞書で調べれば大丈夫です。英単語は何万語もあります。その中では、一生に一度しか出会わない単語、そして一生出会わない単語が山ほどあります。それらの単語を覚えるムダな時間と労力を減らす意識が大事です。

【参考】Longmanの使用頻度リスト(書き言葉、話し言葉の上位3000語)

http://www.lextutor.ca/freq/lists_download/longman_3000_list.pdf