英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

6.英単語の取り扱い方Ⅱ

(前回パートⅠからの続きです。)

 

http://ameblo.jp/principal-ega/entry-11983829060.html 

 

③これからの単語の覚え方

英単語を覚えることが得意だという人はあまりいないと思います。誰でも、自分なりの覚え方で試験を乗り越えてきたと思いますが、「英語を使うための単語の覚え方」には注意点があります。単語は「読む」ためだけに覚えるものではありません。「書く」「聞く」「話す」ためには、意味とスペル以外のことも覚えないといけません。

 

 

 

<例文で覚える>

単語のテストのように、単語と意味を1対1で覚えただけでは、その単語を使えるようにはなりません。使うためには、例文を一緒に覚えなければなりません。どんなに英語の上手な人でも、例文を知らないで、文を書こうとするとムチャクチャになってしまいます。それは、見本なしでパズルを組み立てるようなものだからです。

例文の中には、単語についてのノウハウ(「一緒に使う単語」「どのような状況」「どのような形で使うか」)がぎっしり詰め込まれています。そのノウハウが、話すときには必要不可欠です。

 

 

 

<コロケーション(塊)で覚える>

コロケーションを覚えることは、例文で覚えることと近いのですが、改めて説明するほど大事なポイントです。コロケーションとは「単語のパートナー」とも言われます。単語には一緒に使われやすい単語の組合せがあります。それはルールではありません。言語の慣習の積み重ねの結果のようなものです。コロケーションは日本語を含めたすべての言語に存在します。(拡大解釈すると、「定番表現」なども含まれます)

コロケーションで覚えると、2~3語を「塊」として1語のように頭の中で処理ができます。つまり、省エネが可能です。また、覚えたコロケーションであれば、その2~3語の組合せの中では間違える心配もありません。そしてコロケーションを使えば、相手にも通じやすくなります。1単語だけだと通じない場合でも、2~3語の「聞きなれた単語の並び」であればどこか相手が拾ってくれます。

 

 

 

「1つの単語を覚えるのも大変なのに、その単語の組合せをいくつも覚えるなんて無理だ」と思う人もいると思いますが、実際は逆です。1つの単語だから覚えられないのです。1つの単語は情報量が少ないために、すぐに忘れてしまいます。2~3語の単語の塊であれば、そこから状況を思い浮かべて、イメージを膨らますことができます。そのイメージを元に、記憶を呼び戻すことができます。

そしてよく使われる単語の組合せは限られています。極端なことを言えば、一つの単語に対して、一つのコロケーションを覚えておけば十分です。別の表現を使いたいときでも、覚えているコロケーションを近い単語で置き換えれば、それだけで間違いのリスクは格段に低くなります。

 

 

 

<五感で覚える>

試験勉強のための単語は、目で読んで、手で書いて覚えたと思います。「スペル」と「意味」の文字情報だけを暗記していました。しかし、「書く」「聞く」「話す」ためには、それ以外の情報が圧倒的に不足しています。それは、「音」と「使い方」の情報です。これらを覚えるためには、五感をフルに活用する必要があります。耳で聞くことは当然として、口も動かします。例文を音読しながらも、頭の中で状況を「イメージ」することも非常に重要です。「話すときの気持ち」を一緒に記憶しておくと、同じ気持ちになったときに、自然と単語(例文)が口からでてきます。逆に、その単語のもつイメージや気持ちが湧かなければ、実際の場面でも使うことができません。イメージといわれても難しいとおもいますので、単語帳のスペースに落書きをしたり、単語をGoogleの画像検索に書けたりすることも助けになります。これは子どもが親に絵本を読んでもらって、言葉を覚えてゆく方法と同じようなものです。また動詞には、実際にその動作をやってみると、一発で覚えられる単語もあります。

 

 

 

<語源で覚える>

難しい単語を覚える際に、語源が威力を発揮します。アルファベットの羅列が、語源を意識することで意味をもちます。語源は、漢字の部首のようなものです。読めない漢字でも、部首によってなんとなく意味が推測できるように、見慣れぬ英単語でも意味を推測できるようになります。ただし、語源には例外もたくさんあるので、覚えにくい単語を覚えるために利用する、くらいで十分かと思います。

 

 

 

<英英辞典で覚える>

全く初めて見る単語なら英和辞典を使った方が早いですが、よく知っている単語や若干あやふやな単語であれば、英英辞典で確認するメリットは十分にあります。最近の英和辞典もレベルは上がっていますが、やはり古さや間違いも残っています。一方で英英辞典であれば、すべて正しいニュアンスを確認することができます。英英辞典に慣れてしまうと、英和辞典に戻れなくなります。英和辞典で確認しただけでは、怖くて使えないからです。

英英辞典に載っている例文がかなり良質です。切れ味の良い英文が、豊富にあり、例文を読んでいるだけでも非常に参考になります。

そして、英英辞典は説明も英語で書かれているので、説明を読むだけでも英語の勉強になります。LongmanOxfordなどは説明もシンプルな英語で書かれているので、私たちが使う英語の見本ともなります。

英英辞典の入った電子辞書は、本気で英語をトレーニングするつもりなら買っても絶対に損はありません。英英辞典のジャンプ機能や例文検索機能などで1時間くらい遊んでいるだけでも、相当な勉強になります。

 

 

 

<単語帳で覚える>

受験やTOEICの勉強で、多くの人は単語帳を使ったと思います。単語帳で暗記すると、実際に使えないという批判もありますが、単語帳を選び方と覚え方に注意すれば問題ありません。何よりも、単語帳は繰り返しのトレーニングをするために最適のツールです。覚える必要のない単語は載っていないので、わざわざ単語を選別する手間がありません。単語帳を使わない派の人は、この点を過小評価しています。だから、「英字新聞や生の英語で出会ったものを自然に吸収するというやり方」で単語を覚えようとします。もしも、無尽蔵な時間を英語に費やすことが可能であれば問題ありませんが、普通の人はそこまでできません。また、「今覚えようとしている単語の重要度や使用頻度」を知らずに覚えることは時間のムダにもつながります。もしかしたら一生のうち、再び目にすることがない単語なのに、一生懸命覚えようとしている人は意外に多く見かけます。

 

 

 

単語帳を選ぶ時の注意点としては、音源と例文があることです。特に初心者はCD音源や例文のない単語帳を使っていたらしまってください。英語を使うためには、英単語を見て日本語を思いつくことよりも、例文を見たときや耳にしたときに、英単語のイメージが頭に浮かぶことのほうが大事です。

 

 

 

<忘れても良いと思って覚える>

単語や例文は一度で覚えられるものではありません。しかし、二度三度と繰り返し練習すれば、定着率は間違いなく上がります。この練習した回数は裏切りません。記憶するためには、繰り返しが何よりも効果があります。ゆえに、繰り返してトレーニングをしない教材は、ほとんど記憶効果がありません。覚えたいのであれば、繰り返せる教材を選ぶことが何よりも大事です。

 

 

 

<専門用語は別枠で覚える>

単語には基本的な単語と応用的な単語があります。基本単語は3000語くらいで、いろいろな場面で使われる、頻度や汎用性が高い単語です。それ以上のレベルの単語は、特定の場面でしか使われない、専門的な単語です。TOEICですら5000語も知っていれば900点は取れます。逆に言うと、それ以上語彙力をあげる必要はほとんどありません。

ただしその例外が、専門用語です。研究や仕事などの専門分野には、その分野の独特の言葉があります。それは基本単語ではありません。基本単語とは区別して、「これは専門用語と意識すること」が重要です。そうすれば、基本単語がわからないのか、専門用語がわからないのかを区別して対処をすることができます。基本単語であれば、コツコツと覚えてゆけば良いです。もし専門用語がわからないというのであれば、「専門用語単語帳」を自分で作ることです。それに、専門書などでよく見る単語を書いてゆきます。法律用語、経済用語、工学用語、医学用語など日本でも特殊な言葉使いがありますが、英語も同様です。それぞれの専門分野には辞書もありますが、それを全て覚えることは不可能ですし、その必要もありません。なので、教科書や論文などで「よく出てくる単語」の中から、気になった単語を辞書で調べてノートに書くことです。見知らぬ単語を全て覚えようと思うと必ず挫折します。2~3回ほど目にして、「これはよく見る単語だけど、どういう意味だろう」となった時がチャンスです。知りたくない単語は覚えられません。お腹も空いていないのに、無理やりご飯を食べても美味しくないのと一緒です。

 

 

 

<使って覚える>

一生懸命覚えても、使わなければ必ず忘れてしまいます。逆に、一度でも実際に使えば、「単語を使った状況」と一緒に、頭の中に記憶されるので忘れにくくなります。また、同じような状況になれば、「自然と思い出す」ことができます。海外留学の最大のメリットはこの点です。海外の生活中で使った英語は、その特殊な環境のイメージと共に、かなり強烈に記憶することができます。

 

 

 

<使うことを前提にして覚える>

試験勉強のように、英単語と日本語の意味を1対1で覚えていても。決して使えるようにはなりません。単語を使えるためには、英単語と「関連情報」を1対10くらいの割合で覚える必要があります。もう少し正確にデータ化すると、下の【図表】のような比較になります。つまり、試験勉強の英単語の覚え方では、必要な情報が全く足りていないから、結果的に話せない状態になっています。

 

 

 

 

 

 

【図表4】試験英語と英会話の英単語の覚え方の違い

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英会話でも暗記は必要です。ただし暗記の方法と内容が試験勉強とは異なります。英会話では五感を使って例文や音など、より多くの情報を暗記します。これを一般的には「身体で覚える」と言っています。

 

 

 

<重要なポイント>

  ・英会話に必要な語彙力は3000語レベル。

  ・英単語は、使用頻度の順番で覚える。

  ・英単語は、五感を覚える。