英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

7.読むスキル

読むスキルは4技能の土台になるため、最も重要です



英語のリーディングは、英単語を日本語に置き換える作業ではありません。単語を一つ一つ日本語にしても、意味は通じません。リーディング力は、ただの語彙力ではありません。書き手が伝えたいことを、できるだけ正確かつ素早く読み取る力です。このために、英文でよく使われる「パターン」をできるだけ多く覚えておく必要があります。読んでいる英文から「パターン」を素早く感知して処理することで、より素早く正確な読み方ができるようになります。

(1)英文を読むときの基本

 ・最初の1文目あたりの「主張」があるので特に集中して読みます。

 ・「結論」のあとに「理由」を期待しながら読みます。

 ・書き手が何を言いたいのかを想像しながら読みます。

 ・持っている知識や情報はフル活用して読みます。

 ・「日本語」と「イメージ」の両方を頭に思い浮かべて読みます。

(2)前から後ろに読み下す (スラッシュリーディング)
 早く読むためには、前から読み下すスラッシュリーディングが不可欠です。英語を書いている人は、文を前から順番に書いています。つまり、文の順番が、書いている人の思考の流れです。スラッシュリーディングをしないで、文を後ろから訳すような「返り読み」をしてしまうと、この思考を逆流するために、時間がかる要因になります。スラッシュリーディングで、書き手の思考の流れが追えるようになると、流れの先もある程度予測することができるようになります。これがスピードアップに大きく貢献します。

スラッシュリーディングの大切さは、別のところにもあります。まず、読むスピードはリスニングの理解スピードにも比例します。文を前からスラスラ読んで理解することができれば、リスニングでも英語がスルスルと耳に入ってくるようになります。つまり、耳から入ってきた英語を、英語の順番通りに処理できるようになります。

また、前から読むことは、話すことにも不可欠です。「返り読み」はスピードが遅くなる程度の問題ですが、「返り話し」はできません。そんなことをしていたら相手には通じません。ブロークンな英語になる人は、単語を日本語の順番で並べた「返り話し」をしている人が多いです。そして、たいていその人たちは、「返り読み」もしています。

英語を話すとき、ネイティブでも日本人でも、完成した文を思いついてから話し始めているわけではありません。話し始めるときは、言いたいことの方向性が決まっているだけです。それに、表現を継ぎ足しながら文を作ってゆきます。このプロセスで、「返り読み」や「返り話し」をしていては継ぎ足しができません。つまり、前から読まない人はと、話すことができません。

(3)文構造を把握する (骨組みのパターン認識

 高校や予備校などでは、英文を「主語(S)」「述語(V)」「目的語(O)」などと品詞に細かく分解して、英語を理解していました。このようなやり方は、知っていた方が良いのですが、大学の二次試験で出るような構文分析までする必要ありません。実際には、分解しないと理解できないような文を目にすることはあまりありません。相手が理解しにくい文というのは、基本的にはマナー違反の文です。グローバルスタンダードからいうと「悪文」です。もし使っている人がいたとしても、マネして使ってはいけません。(試験では、受験生をふるいに掛けるために出題されます。)

複雑な文を正確に理解できることよりも、基本的な構造の英文を、素早く正確に理解できることの方が重要です。これはTOEICのリーディング問題のイメージです。TOEICには文を分解しないと理解できないような英文はあまり出題されません。それがビジネス上のルールになっているからでもあります。

<基本的な文構造の英文を読む時の注意点>

  ・主語と述語

   ・・・主語と述語さえ押さえておけば、後は飾りです。

  ・構文の把握

   ・・・構文を一瞬で把握できると、読むスピードが音読よりも早くなります。

  ・that, what

   ・・・節がどこからどこまでか理解できると、節を飛ばすことができます。

  ・接続詞

   ・・・逆接(but, however, although, etc)がきたら、後は予測ができます。
  ・否定語

   ・・・否定語(no, not, few, little, etc)を見逃すと、理解できません。

  ・時間、場所、目的

   ・・・サラッと飛ばしても、必要な情報ならあとで確認するだけです。

  ・関係代名詞

   ・・・「返り読み」したくなりますが、我慢して読み下します。

  ・to 不定

   ・・・”to”は方向性を示すので、文全体の鍵を握ります。

  ・副詞

   ・・・副詞の代表的な例文をいくつか覚えるだけで楽に理解できます。

  ・挿入、ジャンプ

   ・・・基本文構造を見失わないよう、サラッと読みます。

  ・後置修飾、分詞

   ・・・出てきた瞬間に「修飾が始まった」と反応できるようにします。

(4)読むトレーニングの方法 (パターン認識の訓練)

 読むトレーニングというと、多読を思い浮かべる人は多いと思います。しかし実際に多読をしても、読解力とスピードはほとんど変わりません。多読はある一定レベル以上の人には必要です。例えば英検1級やTOEIC900点以上などの人たちです。言い換えれば、それ以外の人たちに「多読は不要」です。そもそも理解できない文を、理解しないまま速読しても、理解できないままであることに変わりはありません。多読のような、教材を使い捨てるような勉強法よりは、同じ教科書を繰り返し精読、音読をする方が高い学習効果があります。

<英語を読むためのトレーニング>

  ・精読 ・・・ゆっくりでも読めない文は、決して速く読めません。

  ・音を聞く ・・・耳に残った音が、読む時の助けになります。

  ・音読・・・最も簡単で効果的なトレーニング方法です。

  ・繰り返す・・・1、2回では、トレーニングの効果はほとんどありません。

  ・英英辞典・・・説明も英語で書かれているので一石二鳥です

  ・適度な文法・・・気になったときに文法書で確認する程度で十分です。

  ・適度なレベルの教材・・・7~8割、理解できる内容からスタート。

  ・教材の数を絞る・・・まずは一冊に集中します。(3回は繰り返す)

  ・やる気のでる教材・・・仕事や趣味に関係する教材がベストです。

  ・効率の良い教材・・・DUO、速読速聴英単語、ALL IN ONE、など。

リーディング力は、適当に多読していれば、いつの間にか向上しているわけではありません。コツコツと理解できる英語のパターンを積み重ねてゆくことこそが、リーディング力の向上の近道です。