9.書くスキル
書くスキルは、話すことの土台になる、難易度の高いスキルです 「英語を書くことができるけど、話すことができないから困っている。」 このように言う日本人は非常にたくさんいます。しかし、その人たちの99%は、実際に書くことすらできません。ここでいう書くスキルは、エッセイやビジネス文書を書くスキルのことではありません。仕事やプライベートでのEメールのレベルのライティングスキルです。もし、Eメールをスラスラ書けるのであれば、あとはそれを発音するだけで話すこともできます。書くことは、読むことと一緒に考えられていて、話すことに比べれば簡単だと誤解されています。話すことよりは簡単だけども、読むことよりも難しいスキルが、書くことです。
「英作文は英借文」という言葉は、シンプルながら英語を書く本質を突いた考え方です。英語を書く場合に、正しい英語をマネすることが一番の近道です。そして近道であるのと同時に、最も安全な道でもあります。自由勝手に英作文をすると、高い確率で間違えます。間違いとは言えないまでも、不自然な表現になることは、避けられません。英語のカリスマ講師であっても、ネイティブに長文の英語見せると、必ず修正が入ります。それほどに英語を書くことはやっかいです。
英語を正しく書くポイントは、見本をマネることですが、毎回見本となる英語を探していては時間が掛かり過ぎます。そこで、見本となる英文を日ごろからストックしておく方法をお勧めします。英語学習中に、使えそうな単語や表現を見つけたら、「アウトプットノート」に書きためておきます。そして、英語を書く必要があるときは、「アウトプットノート」の中の英文をベースに書くようにします。そうすれば、間違えるリスクは激減します。「アウトプットノート」に書いても、なかなか覚えられないかもしれませんが、いつでも見直すことはできます。最初は、「アウトプットノート」を見ないと使えない表現も、何度も使えば見ないでも書けるようになります。さらに「アウトプットノート」を音読すれば、会話でも役立てることができます。
「アウトプットノート」は自分専用の例文集です。ただの1冊のノートですが、それが書くとき、話すときのベースに成ります。(通訳者もノートを大量に作って持っています。)ノートに英文がたまればたまるほど、書く力と話す力が向上します。つまり、アウトプットノートに書いた英文の量が、自らの英語力と比例することになります。
<どんな表現をノートに収集するか>
①理解できる表現
・・・理解できない文は対象外です。背伸びする必要はありません。
②使えそうな表現
・・・理解できても、難しすぎると、使うことはできません。
③使いそうな表現
・・・自分に関係ない、興味がない表現は使いません。
④話し言葉にもなる表現
・・・ガチガチの書き言葉は、会話では使えません。
注意することは、「新しい知識」です。多くの人は、「新しい知識」を覚えることが勉強だと思っています。だから、多少背伸びをしても、難しい単語に手を出そうとしてしまいます。しかし、英語のアウトプットに関して背伸びは必要ありません。なぜなら、本当に役立つ表現は足元にいくらでも落ちているからです。つまり基本的な英語です。ほとんどの日本人は、中学レベルでも正しく使えません。まずは「すごく簡単だけど使えない」レベルの英文を集めることくらいで十分です。
<重要なポイント>
・一度も見聞きしたことの無い英文は書かない。
・英語は書くことは、マネをすることが一番安全な近道。
・使えそうな表現を日ごろから収集しておく。
・アウトプット表現に背伸びは禁物。
※論文やエッセイなどの英文を書く場合は、いろいろと細かいルールがあります。グローバルコミュニケーションではほとんど必要とされていないため割愛しました。