英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

21.日本語を大事にする

日本語がダメな人は、英語もダメです

 


英語教育、特に小学生や幼稚園児の英語教育の話題になると、「英語は早いうちに勉強した方が良い」という声がある一方で、「日本語もろくに話せないのに、何が英語だ」という保守的な発言もよく耳にします。両方ともある意味正しいです。ただそれを大学生や社会人に対して説明しても、今さらどうしようもありません。

ここで言いたいのは、「英語のためにも日本語が重要」という点です。結論から言ってしまうと、英語力は日本語力に比例します。汚い日本語しか話せないのに、キレイな英語を話せる人はいません。これまで見てきた人で例外はほとんどありません。(例外は帰国子女や子ども)

一方で、短期間で英語が話せるようになる人もいましたが、その人たちはわかりやすい日本語を話していました。(そのうちの一人は、教員志望の大学生でした)

また、日本語を話す癖は、必ず英語にも影響します。日本語が早口なら英語も早口に、日本語が長ったらしいと、英語もそれだけ長くなります。

できるビジネスパーソンのように、要点をシンプルにまとめられる人は、英語が話せるようになる可能性は高いです。一方で、博識の大学教授のように、難解な話を長々と話す人は、英語を話すのに苦労します。特に早口な人は要注意です。日本語なら早口でも脳の処理能力が追いつきますが、英語の場合はさらに10倍以上の負荷が掛かります。その負荷を同じスピードで処理しようとすると、パソコンのようにフリーズしてしまいます。英語を話すためにも、日本語の話すスピードも落ち着かせると効果があります。

「言いたい英語が口から出てこない」というのは、少し英会話をトレーニングした人がよくいう言葉です。そういう人のほとんどは、語彙力のなさや、会話の実践経験の少なさが原因だと思い込んでいます。しかし、本当の原因は他にあります。その人に、「口から出てこないなら紙に書いてみて」と言っても書けません。それなら、と、「何が言いたいか日本語で言ってみて」と言ってもはっきりした回答が無い場合がほとんどです。つまり、英語力が足りないのではなく、そもそも日本語でも考えがないことが問題です。この状態でむりやり英語を話そうとしても、まともな内容がでてくるはずがありません。

英語の授業でディスカッションをやる前に、まず10分ほど日本語のディスカションを行うと、その後の英語のディスカッションがかなりスムーズになります。問題は英語力だけではなく、むしろ日本語にあります。

英語力は日本語力に比例するといいましたが、それはただ正しくキレイな日本語を使う力だけを意味するわけではありません。「日本語で考えをまとめる力」と「日本語を別の表現に言い換える力」と合わせて日本語力です。(これは研究でもビジネスでも重要なスキルです)

「英語を話すときに、日本語に引きずられる」という不安を持っている人は少なくありません。しかし、これは当然のことであって、母国語に影響を受けずに外国語を使う人はいません。「英語脳」という言葉を聞くと、英語を使っている時は、日本語と違う脳を使っていると想像しがちです。しかし、脳科学的にそれはありえません。脳は同じ場所を使っています。ただ、使うデータベースが日本語か英語で異なるだけです。

日本語に影響されるのは当然なので、日本語による影響をどのようにうまく英語に活かすかを考えた方が得です。「英語は英語だけで考える」なんてことは無謀です。日本人として日本語で教育を受けてきた人は、今さら英語で思考するなんてことほとんど不可能です。日本トップの同時通訳者ですら「日本語で考えている」と言っています。

もし英語で思考できるとしても、相当にレベルの低い「浅はかな考え」だけです。そんな子どもの浅知恵レベルの思考で、研究や仕事をすることはできません。「日本語の情報(データベース)を駆使して、考えぬいたアウトプットを分かりやすい英語に置き換える。」これが大前提です。

(※海外でゼロから英語で勉強や仕事をした分野に関しては、英語で考えることはありえます)

最後に一つ良い話ですが、英語を使うようになると日本語が上手になります。要領よく話せるようになり、考えながら続けて話ができるようになります。日本語から英語へ影響があるのと同様に、英語から日本語への影響もあります。これは英語をトレーニングするもう一つのメリットとも言えます。

<重要なポイント>

  ・英語力は日本語力に比例する。

  ・日本語の癖が英語にも影響する。

  ・日本語で思考を整理することが大事。