英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

10.話すスキルⅢ

<英語ペラペラの3つの条件>

「英語がペラペラになりたい」という人は多くいます。しかし、「ペラペラとはどんな状態か」を明確に答えることができる人はほとんどいません。一般的な定義もないので、目標が「ネイティブのようになる」という極めて難しいものになってしまう人も少なくありません。そこで、「英語がペラペラ」の状態を以下のように定義します。

 

 (1)3秒以内に、話し始められる (瞬発力)

 (2)3文以上、続けて話せる (連打力)

 (3)30分以上、会話を続けられる (情報力)

 

「一つのトピック」でも3つの条件をクリアすれば、「ペラペラ」と言えます。トピックを限定することで、学習の量を大幅に減らすことも可能です。また、「一つのトピックでもペラペラ」になれば、大きな自信になります。さらに、そのノウハウを他のトピックに応用することで、話せるトピックを簡単に増やすことができます。

 

 

<日本語もペラペラじゃなくてカミカミ>

「英語をペラペラ話したい」という人は、ドラマの役者のような話し方を想像していると思います。現実には、あのような英語を話している人はほとんどいません。ネイティブでも、つまったり、言い直したりしながら話す人がほとんどです。それは、日本語でも同じです。ドラマやニュースのような「ハキハキした」話し方をする人は、現実世界ではほとんど見かけません。プロ野球やJリーグのヒーローインタビューなどは、しどろもどろになりながら、何を言いたいのかよくわかりません。

 

 ・日本語でも、文法的な間違いはあり、完璧な文を話していません。

 ・日本語でも、ところどころ詰まることや言い直すことがあります。

 ・日本語でも、相手が理解できなくて聞き直されることがあります

 

母国語の日本語ですら、これだけグダグダでカミカミなのですから、英語で高望みするのは無謀というものです。もちろん、正しい英語を話せるにこしたことはありません。ただ、正しさを求めて通じないよりも、多少間違えたとしても、通じることの方が大事です。

 

 

 

 

<日本人が話せない理由>

日本人は、英語の読むことは上手だが、話すことは苦手であるとされています。その要因として、「英語教育の影響」「受験勉強の弊害」「聞く話す必要性の低さ」「日本人の内気な性格」などがヤリ玉にあげられたりします。

これらは全く外れているわけではありませんが、最も大きな理由が忘れられています。それは、「そもそも英語の会話が難しい」という事実です。読む、聞く、書くことと比べても圧倒的に難易度は高いです。この点を無視しているから、言語の壁にぶつかっています。

日本人にとって、読むスキルの習得は難しくないので、どんどんレベルをあげてゆくことができます。語彙や文法知識は暗記すればよいので、どんどんと増えてゆきます。これが最大の落とし穴です。なぜなら、読むために語彙や文法知識を増やすほど、話すためのハードルが高くなるからです。これは、読解と会話との必要語彙数のアンバランスさが原因です。

 

「英文スラスラ読むためには、できるだけ語彙を増やす必要があります。」

「英文をペラペラ話すためには、少ない語彙を使い回す必要があります。」

 

語彙が多い人ほど、話すときの選択肢が増えます。それは良い事のように聞こえますが、そもそも話せない人が選択肢だけもっていると、迷うだけで、ますます話せなくなります。一方、語彙が少ない人は、語彙を選ぶことに迷いがありません。それしか知りませんので、知っている英語をただ口にしているだけです。英語を一生懸命に勉強してきた人はこのことに気づいていません。自分が話せないのは、語彙が足りないからだと、ますます語彙を増やそうとします。

 

大学受験やTOEICをしっかり勉強した人は、それなりの語彙力があります。だからこそ、話すためにはまず覚えた語彙を捨てる覚悟が必要です。本当に忘れる必要はありませんが、会話では使わない語彙として、「読解用語彙」として頭の隅に追いやる意識が必要です。ある程度話せるようになってから、捨てた単語を復活させたり、新しい語彙を覚えたりすることは問題ありません。

ウエイトトレーニングで、最初から重たいバーベルは持ち上げられません。軽いバーベルが持ち上げられるようになってから、徐々に重りを増やしてゆくことが正しいトレーニング法です。

 

 

英語で考えようとするから話せない>

英語を話す時に、「英語で考えて話すべき」と多くの人が言っています。ネイティブスピーカーや帰国子女たちは概ねそう言います。彼らが、英語で考えている事はその通りでしょう。しかし、普通の人はネイティブや帰国子女とは違います。普通の人は、英語で考えられるほどの語彙を知りません。また、英文だけで考えを整理することは不可能です。「英語で考える」は、しっかり考えられるだけ十分な「英語のネタ」があることが前提です。

普通の日本人が、その数少ない「英語のネタ」だけで思考をしようとすると、かなり思考が貧弱になります。せっかく大人の頭があるのに、子どもの知識だけで思考するようなものです。これでは研究も仕事もできません。

アドバイスをする人は、本当に英語で考えているのでしょうが、アドバイスを聞く人は、ネイティブでも帰国子女でもありません。

 

英語が話せない理由の一つは、言いたい事にぴったり合う単語を検索していることです。英語が話せる人は、使える単語に言いたい事の方を合わせています。

 

たった10語からできた英文にも、10ヶ所は文法的なポイントが含まれています。それら全てを間違えずに会話することは、とても大変です。対策は、「全ての文法を正しく言えるまで練習する」か、あるいは「正しい文法でできた文をマネる」かです。文をマネするだけであれば、処理負担はそれほど掛かりませんが、例文をたくさん知っている必要があります。

 

 

 

 

 

 

<重要なポイント>

  ・英語を話すことは日本語よりもずっと難しい。

  ・4技能に一貫性を持たせる。(ピラミッドの頂点がスピーキング)

  ・話すのに必要な語彙は限られており、それを使い回すだけで十分。

  ・無理に英語で考えても、英語は出てこない。まずは日本語で考える。

  ・話せる人は、「省エネ」だから英語が話せる。

 

 

 

 

 

 

【図表6】「話せる人」と「話せない人」の頭の使い方

 

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