英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

17.ネイティブ信仰のワナⅠ

ネイティブを盲信せず、世界で通用する英語を身につけます

 

「英会話を練習して、いつかはネイティブのように話したい!」

と思っている人は少なくないと思います。これまでの見本はネイティブの英語だったのも確かです。映画やテレビで見る英語を話す外国人にはカッコよいイメージがあります。また、帰国子女や留学経験者のペラペラ英語を話す姿にも憧れる気持ちは仕方ありません。

しかし、この「ネイティブ英語」にこだわってしまうと、英語は使えるようになりません。「ネイティブ英語」というのは、宗教みたいなものです。司祭のネイティブ様が、「私のように話せば、幸せになれます」と教徒たちに教えを説きます。教徒たちは頑張って努力をしますが、なかなかネイティブ様のようにはなれません。そうすると、ネイティブ様は「まだまだ精進が足りません。もっと頑張りなさい。」(以下繰り返し)

普通の人では到達できないレベルを、さも手が届くように見せる詐欺です。新手の新興宗教みたいなものです。信じても不幸になるだけです。日本にいるネイティブの英語講師に対して、「あなたはどれくらい日本語が話せますか?」と聞いてみてください。日本社会で生活をしているのに、まともな日本語を話せる英語講師はほとんどいません。彼らもそれがほとんど無理なことを知っています。

(もし日本語もしっかり勉強したうえで、英語を教えているネイティブなら信用しても大丈夫です。)

 

 

 

「日本人の中にも英語をペラペラ話せる人はいる!」と希望を捨てない人がいます。それはもちろん勝手ですが、周りにそんな人がいますか?本当に留学経験者や外国駐在経験者の英語を聞いたことがありますか?ネイティブとは程遠いたどたどしい英語を使っているはずです。帰国子女で海外生活が長かった人の中には、非常にきれいな英語を使う人もいます。その人は、ものすごく努力をしたか、あるいは日本語を諦めたかのどちらかです。

 

 

 

それでも95%無理というだけで、100%ではありません。この残りの5%に入るためには条件があります。

 【条件】 ①25才未満  ②海外で5年以上生活  ③耳が良い、歌が上手い

この3つの条件をクリアできれば、トピックを限定すれば、ネイティブの一歩手前まで行ける可能性があります。

 

 

 

テレビに出てくる歌手、俳優、ラジオのパーソナリティーには、このレベルまで達している人は見かけます。彼らのほとんどは、上の条件をクリアしています。何よりも③耳が良い、歌が上手いという条件にかけてはトップレベルの才能の持ち主です。普通の日本人にはなかなかマネができません。それくらい英語と耳の良さというのは密接に関連しています。

 

 

 

ネイティブ英語が無理というのと同じくらい重要な事実があります。それは「ネイティブ英語」は不要ということです。世界で英語を使っている人は約20億人といわれていますが、そのうちのネイティブはたったの3億人です。外国人と英語でやりとりをするといっても、その人がネイティブであることの方が少ない状態です。しかもその3億人もアイルランド人、オーストラリア人、アジア系、黒人、ヒスパニックなど癖や訛りの強い人も多く含まれています。またイギリス人であっても、スコットランドウェールズの英語は、私たちが想像するネイティブ英語とは違います。ロンドンの労働者階級の使う英語は、お世辞にも綺麗とは言えません。

ネイティブの中ですらこれほどバラバラなのに、非ネイティブが「ネイティブ英語を話したい」というのは、なにか冗談っぽく聞こえます。

ヨーロッパ(北欧やドイツ)などの人たちはキレイな英語を使います。もともと英語と近しい言語を使っているために、習得に日本人ほど苦労しないこともあります。彼らのような非ネイティブと英語で話していて必ず気付くことがあります。それは「ネイティブが相手よりも会話しやすい」ということです。これはビジネスの世界では常識です。ネイティブと非ネイティブが5~6人で会議をするときに、ネイティブの言っていることが非ネイティブにはよく理解できません。結果的に「英語の会議なのにネイティブが議論に入れない」という事が起きます。ビジネス経験の少ないネイティブほど、この罠にはまります。ネイティブのビジネスパーソンなら、2万語くらいの語彙を駆使してあれこれと話をします。その一方、非ネイティブは3000語~5000語くらいしか語彙は知りません。読めばわかる語彙でも、聞いていて瞬時にできる語彙はさらに限られます。その事実を理解していないと、「ネイティブが無視される」事態が発生します。

 

 

 

 

グローバルビジネスは、英語で動いている事は間違いありません。ただ、そこで使われる英語は、ネイティブ英語ではありません。ネイティブ英語よりもはるかに簡単な別物です。世界中のビジネスパーソンがなんとか理解しあえる「最大公約数」の英語がグローバルスタンダードです。それも、短くシンプルで分かりやすい英語が主流です。凝った英語は必要ありません。気のきいた言い回しは不要です。ネイティブにしかわからない熟語や慣用句はNGです。簡単な単語をわざわざ難しい単語に言い換える必要はありません。そんなことをしても、コミュニケーションの弊害になるだけです。異なる国の人同士が、正確かつスピーディーに意志疎通ができれば十分です。

 

 

 

 

間違った英語でも良いわけではありませんが、最近はさまざまな英語に対しての許容範囲が広がっています。ドイツ人の英語、シンガポール人の英語、インド人の英語はそれぞれそういうものだと認識されています。私たちも日本人の英語というのを確立すれば、そこまで臆病にならずに英語が使えるのですが、まだそれは先の話になりそうです。

 

 

 

 

 

 

【図表15】語彙数のレベル

 

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