英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

英語のレベル

英会話を勉強している人に必ず聞く質問があります。

「あなたはどれくらいのレベルを目標としていますか?」

極めてシンプルな質問ですが、即答できる人は多くありません。

◆英語の目標レベル回答例◆
 ①「個人海外旅行をしたい。」
 ②「外国人とペラペラ会話したい。」
 ③「仕事で困らないようになりたい。」
 ④「専門的なビジネスの交渉に強くなりたい。」
 ⑤「ネイティブ並みに話したい。」
 ⑥「洗練されたネイティブのように話したい。」

返ってくる答えは大きく分けると、上のようなものになります。

問題は目標の英語力がどれくらいの難易度(レベル)なのかということです。
残念ながらこれを正確に認識している人はほとんどいません。

それを定量的に表す指標としてTOEICや英検などがあります。
ただ、これらのテストの中の「点数」の意味については説明があれこれと
書いてあるものの、定性的であまりピンときません。

目標があやふやで、目標となる指標もぼやけているとなると、
正しく目標を設定をすることは難しいと言わざるを得ません。
この英語学習の最も重要な点が、怪しい状態では心もとない限りです。
そこで目安として、語彙力を基準にしたピラミッド図を作成しました。

ピラミッドの階層は全部で6つあります。
6つの階層は上から順に語彙数が多くなります。
ここでの語彙数は「知っている語彙数」を意味しています。
語彙数は様々な資料から類推した目安です。

①初心者(数百語)
 旅行レベルです。話し方はブロークンです。
 コミュニケーションは単語レベルなら可能です。

②非ネイティブ初級(1200語)
 日常生活レベルです。中学で学習する語彙数と同じです。
 基本単語は習得しているので、文で会話することが可能です。

③非ネイティブ中級(3000語)
 ビジネスレベルです。英検2級、TOEIC800点くらいです。
 非ネイティブ同士の会話に十分な語彙力です。

④非ネイティブ上級(10000語)
 専門的なビジネスレベルです。英検1級、TOEIC990点くらいです。
 非ネイティブ(ドイツ人、シンガポール人、インド人)の中でも上位です。
 非ネイティブ同士の会話では理解されない語彙も多く含みます。
 
⑤ネイティブ中級(20000語)
 一般的なネイティブレベルです。英検やTOEICでは測れないレベルです。
 非ネイティブの通訳者や専門家の語彙力です。
 
⑥ネイティブ上級(30000語)
 教育水準の高いネイティブレベルです。
 非ネイティブには到達困難なレベルです。

これらのレベルは、上の◆英語の目標レベル回答例◆の番号と
一致するようになっています。
また語彙数の多寡は、表現の数にも比例すると考えて良いです。

このピラミッドからいくつかアドバイスが導き出せます。

(1)目標のレベルに合った語彙を身に付ける。
 まずは自分の目標を定めます。その目標レベルにあった単語や表現を
 覚えるように努めます。この場合、難し過ぎる表現はあえて無視しても
 問題ありません。

(2)無理の無いレベルを目指す。
 ピラミッドの④非ネイティブ上級と⑤ネイティブ中級の間には壁があります。
 これはかなりの時間と労力をかけても越えられない可能性が高いです。
 あるいは、③非ネイティブ中級のレベルも人によってはかなり難しく感じます。
 自分の能力と費用対効果を考えて、手の届くレベルを目指すことが大事です。

(3)レベルを飛び越えない。
 これは日本人に良く見られる傾向ですが、②非ネイティブ初級や③中級の
 単語を知らない、使えない段階で、④非ネイティブ上級や⑤ネイティブ中級の
 単語に手を出すことは危険です。仮に目標が⑤ネイティブ中級だとしても
 まずは基礎的な②⇒③⇒④という順々に固めてゆくことが大事です。
 
(4)難し過ぎる単語は通じないことがある。
 日本人が英語を使う相手が、非ネイティブのケースが非常に多くなっています。
 この時に、相手を見ずに③や④の表現をポンポン投げかけても通じない場合が
 あります。グローバルイングリッシュの観点からは、②と③の間くらいの英語で
 十分です。ビジネスシーンでも、③の表現に専門表現を加えるだけで十分な
 場合がほとんどです。

◆注意点◆
この図は、語彙数(または表現の幅)を軸に階層分けしています。
「語彙力」は数値化できるため、「英語力」の指標としてよく使われます。
しかし、人によりイメージしている「英語力」は異なります。
「読解力」を「英語力」と定義していれば問題はありませんが、
スピーキング力」を重視している人の認識とはズレが生じます。
それこそ、③非ネイティブ中級レベルの語彙力もあれば十分です。


(参考)日向清人先生の「ビジネス英語雑記帳」に細かな分析があります。
http://eng.alc.co.jp/newsbiz/hinata/2009/02/toeic3714.html