英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

英語を話せるようになった人の練習をマネする

英語が上手な人の話し方だけをマネしてもその人の練習方法をマネできなければ話せるようにはなりません。これは野球選手のかっこいいプレイだけマネしようとしてもそもそも野球選手の練習すらマネできないと話しにならないというようなものです。

 

野球のプレイで他人から見えるのは「練習」のほんの一部の「結果」でしかありません。それぞれを比率化すると「練習100」対「結果1」くらいの割合です。だから結果をいくらマネしようとしても残りの大部分(練習)は手つかずになってしまいます。当然大部分である「練習」が「結果」の土台となっていますので「結果」は出ません。

 

英語のスピーキングの「結果」である話し方だけをマネしようとする危険もここにあります。特に英語のスピーキングのプロセス(思考→英作)はほぼすべて頭の中で行われます。頭の中で行われているということは他人からは見えません。ということは「結果」として見えている話し方は英語が話せる人の一部の中のさらに一部になります。こんなにちっぽけな要素をまねしたところで英語が話せるようにはなりません。

 

それではどうすれば英語が話せる人になれるのでしょうか。その答えは簡単です。英語が話せる人の練習方法をマネすることです。それもできるだけ英語が話せるようになったときの練習方法です。そのためにもマネする見本は日本人がベストです。それも日本人で自分と同じような教育を受けて、自分と同じような環境にいる人で英語が話せるようになった人の練習方法であればかなりの確率で効果は出ます。

 

結論的には、英語を話せるようになるために英語が話せるようになった日本人(自分と近い境遇)を見つけることが極めて重要です。

 

英語がすでに話せる人の学習方法ではダメ

英語のスピーキングテストの採点項目が「英語を話せるために必要な項目」であれば学習者にとっても役に立ちますが、実際は「英語がすでに話せる人のレベルを判別するための項目」になっています。これではテストを目標にしても英語が話せるようになりません。

 

そもそも英語を話せるようになるためにはちょっとしたブレークスルーが必要です。つまり「英語がすでに話せる人」と「英語が話せない人」の間には連続性が無いということです。そのため「英語が上手に話せる人」と「英語がすでに話せる人」の差が何かを参考にしても「英語が話せない人」にとってはほとんど役に立ちません。

 

日本で育った日本人であれば「英語がすでに話せる人」と「英語が話せない人」の間にはものすごく高い壁があることに気づいていると思います。その壁は非常に急な角度でほとんどの日本人を寄せ付けないくらいです。逆に「英語がすでに話せる人」になった後の壁の角度はそれほど急ではありません。

 

ほとんどの日本人にとっての最大の壁は「英語が話せない人」から「英語がすでに話せる人」になることです。必要なことはこの壁を攻略するためだけに必要なことをやることです。(そしてそれはそれほど多くありません。)

 

だからこそ「英語が話せない人」は「英語がすでに話せる人」の学習方法を参考にしてはいけません。

 

スピーキングでは和英辞典を使ってはいけない理由

英語を話せるようになりたければ和英辞典で英語の表現を調べてはいけません。和英辞典で調べないとわからないレベルの表現は、話せるようになるまでにかなりの時間が必要になるからです。

 

 

そもそも和英辞典を調べるときは2パターンあります。「知っている英語表現が思い出せないとき」かあるいは「初めから英語表現を知らないとき」です。前者であればそれほど問題はありませんが、後者の場合は大問題です。知らない英語表現をいくら調べてもそれが使えるようになることはないからです。

 

 

その理由は、英語表現を使えるまでに長い道のりがあるからです。英語表現が使えるようになるまでを4つのステップに分けると次のようになります。

 

①知らない

②見たことがある

③知っている

④使える

 

和英辞典で調べた英語表現は「①知らない」状態にあたります。調べた瞬間に「③見たことがある」と状態に変わりますが、そこから「④使える」までの間にはまだ③という大きな壁があります。英語を話すことに苦労している人は分かると思いますが「③知っている」から「④使える」の壁はものすごく巨大です。ここでほとんどの英語表現は脱落して使えるようにならないくらいです。それなのにさっき調べたばかりの「②知っている」状態の表現を簡単に使えるようになると思うのは著しい勘違いです。

 

 

それではどうしたら英語を話せるようになるかというのは先に書いたとおりです。すでに「③知っている」表現を繰り返し練習したりノートに書いたりすることで「④使える」表現に格上げするしかありません。

スピーキングでは「英語力 ≠ 語彙力」

学校の先生は「英語力は語彙力」であると言い、生徒たちに単語を覚えさせようとします。実際に学校のテストや受験においてはこの公式がだいたい成り立ちます。それはテストや試験がリーディング中心だからです。しかしこれがスピーキングとなると「英語力は語彙力」の公式は成り立ちません。別の表現をすると、スピーキング力は語彙数には比例しません。

 

それではなぜスピーキング力は語彙数に比例しないのか。その理由は3つあります。

 

理由①:スピーキングは語彙だけで成り立っていないため、語彙をいくら覚えても不十分なため

まずスピーキングでは英語の文を作らなければなりません。そしてその文はただ語彙の組み合わせだけで成り立っているわけではありません。文は語彙と文法の組み合わせでできています。スピーキングができない人は文法に弱点があるかもしれません。

 

理由②文法は知っているけれども、スピーキングのスピードでは使いこなせない

ただ実際に語彙力の高い人はだいたい文法もよく知っています。しかし文法を使いこなせるかというと、そういう人は意外と少数派になります。文法の知識はテストや受験で大活躍しますが、それだけではスピーキングでは使えません。使えるようになるためにはその知識を練習する必要があるからです。

 

理由③語彙が多いと検索する時間がかかるため

さらに怖いことがあります。「英語力=語彙力」という一種の強迫観念に駆られて必死に語彙を増やすと逆効果だということです。それは語彙が多いために生じる語彙選択の迷いです。例えるとピースの少ないパズルであれば簡単に解けるのに、ピースが多くなるほど時間がかかるようなものです。特に話せない人が語彙を増やすとスピーキングの一瞬では文は完成させることは難しくなります。

 

このようにスピーキングでは「英語力 ≠ 語彙力」というだけでなく、初級者にとっては語彙力がスピーキングの邪魔をすることさえあります。

 

英語を話せる人は少ない語彙を使い回して言いたいことを言っています。つまりスピーキング力を上達させるためには語彙力を増やすのではなく、自分が自信を持って使える文や表現を増やすことが近道となります。

グローバル企業の英語ルールの必要性②

グローバルビジネスの共通語は英語になっています。ただ、共通語にはなっていますが、その共通語の使われ方にはルールが存在しないためさまざま問題が生じています。

 

よくある問題の一つに「違う意味なのに同じ単語」や「同じ意味なのに違う単語」が使われるというものがあります。このようなズレは仕事の効率を妨げるだけでなく、時に大きな誤解を引き起こすためそれを防ぐルールが必要です。

 

 

また、ルールが無いために上級者が初級者へ配慮しないという問題もあります。ネイティブと非ネイティブの英語のコミュニケーションはサッカーでいうとプロとアマが混じっているような状態です。敵ならばそれでも戦うだけですが、チームメートであればお互い配慮が必要です。残念ながらネイティブには配慮が下手な人がたくさんいるため、このようなネイティブを野放しにしないためにもルールが必要です。

 

 

もう一つは、ルールが無いため初級者がどんな英語を使ったらいいか迷ってしまうことです。非ネイティブであればそのレベルの英語を使うべきですが、彼らは結構てきとうな英語を使います。また彼らが使う単語やその使い方もバラバラです。またネイティブの英語は難しいだけでなく、ネイティブ同士でも英語にはバラつきがあります。こうなると初級者からすると何を見本にしたらよいかわからなくなりますので、やはり一定の基準(ルール)が必要です。

 

 

このようなにネイティブと非ネイティブの英語が飛び交うグローバルビジネスではコミュニケーション上の大きな問題がいくつも存在します。これらの問題を解決するためにも皆に共通するような「最大公約数的な英語」を使うようにすることが解決策の一つとなります。これは言葉にすると簡単ですが、かなり難しいことです。それが実現できれば、ネイティブだけが優遇される英語世界の秩序が、皆に易しい世界に変わると思います。

 

グローバル企業の英語ルールの必要性

グローバル企業は英語を実質的な公用語として使っています。しかし公用語となっているにもかかわらず特に使い方のルールがあるわけではありません。ルールがないため使われる英語はバラバラな状態です。英語のネイティブの間だけでも使う英語がバラバラなところ、そこに非ネイティブも入ってくるためまさに千差万別の英語が飛び交います。コミュニケーションの土台となる英語がこれほどバラバラだと、スムーズなコミュニケーションができるはずありません。これらのバラツキをなくすにも企業内の「英語ルール」を作る必要があると思います。

 

企業の英語ルールがないために生じる問題はいたるところにありますが、英語のレベルに着目すると大きく3つあります。

 

①1つ目はネイティブのレベルが高すぎて、他の国の人たちとのコミュニケーションが成立しないことです。ネイティブだから英語力に問題はありませんが、周りのレベルが低すぎるために相手に通じないということがあります。彼らは自分たちの英語がスタンダードだと思っているため、相手のレベルに合わせるようなことがなかなかできません。

 

②2つ目は非ネイティブの使う英語にばらつきがあり、非ネイティブ同士での英語のコミュニケーションが阻害されることです。非ネイティブ同士なので英語のレベルはそれほど違いはありませんが、使う単語や文法などにどうしてもそれぞれの母国語の癖が現れてしまいます。

 

③3つ目は英語のできない非ネイティブがどこまで英語力を身につけたらよいかわからないことです。本来であれば非ネイティブとして英語が使えるレベルで十分なのですが、非ネイティブとしてのスタンダードな英語はありません。そのためとりあえずネイティブ英語を勉強するしかありません。

 

これらの問題点は英語のルールを作ることによってある程度解決できます。会議、電話、メール、文書などさまざまな場面における英語のコミュニケーションが少しずつでも円滑になれば、企業全体としてみると非常に大きな効果を生むはずです。

英語は英語で考えるか日本語で考えるか

英語を話すときに「英語で考える」か「日本語で考える」かというのは専門家でも意見が分かれます。それは「考える」に複数の意味があるからです。「考える」には大きく3つの意味があります。

 

①熟考すること

②言いたいことをまとめること

③英文を組み立てること

 

③の英文を組み立てること話だけなら誰でも英語で考えるのはあたり前です。また、①の熟考することは母語でなければできません。仮に外国語でできたとしても母語のレベルには到底及びません。

 

問題は②の言いたいことをまとめることです。ここで「日本語で考える」派と「英語で考える」派の意見が決定的に分かれます。

 

結論から言うと、普通に日本で教育を受けて日本で生活をしている人は「日本語で考える」ことになります。一方で海外で教育を受けたり海外で生活をしてきた人たちは「英語で考える」ことができます。

 

もともとのバックグラウンドがこれほど違うため、考えるプロセスが違うことも仕方ありません。

 

ここで注意しないといけないのは「英語で考える」人たちが「日本語で考える」人たちよりも英語が上手なことです。それは海外で教育を受けたり海外で生活をしてきたという環境によるものです。そして英語が上手なゆえに「日本語で考える」人たちよりも説得力が増します。このことが日本人にとっては大きな罠になります。

 

バックグラウンドの全く違う人がいうことはあまり参考にはなるけれどもあまり役に立たないからです。つまり普通の人にとっては「英語で考える」ことは憧れたとしても決して手が届きません。

 

さらに罪なことに「英語で考える」人たちは自分たちの考えに一点も疑いを持っていないため、普通の人に対してもあたりまえのように「英語で考える」を強いてしまいます。自分たちが恵まれた環境にいるという自覚がないからです。

 

普通の人にはマネができない方法で英語を身につけた人たちが発言権を持ってしまうことで、振り回されるのは普通の人です。このミスマッチに「英語で考える」人も「普通」の人も気づかなければ、いつまでもこの不幸は続くと思います。