英語を話せるようになる戦略

日本人のための英語の学習方法と話し方ブログ

4.四種類の英語:「読む」「書く」「聞く」「話す」

「読む」「書く」「聞く」「話す」はそれぞれ別の技術です

 

 

英語には4つの分野があります。読む、書く、聞く、話す、の4技能です。学生のときはテストなどで、読む、書くばかりを勉強していると思っているかもしれませんが、それは間違いです。読むことしかやっておらず、ほとんど書いていません。実際に、全く書けないはずです。例えばsee, look, watchを使って、それぞれ文を作れますか?自信を持って鉛筆を動かせますか?

このような中学レベルの英単語でも、サラッと正しい文が書ける人はほとんどいません。適当に単語を並べることなら誰でもできますが、それはコミュニケーションの役に立ちません。書くことは、単語と文法をパズルのように組合せることではないからです。書くことは「伝えたいことに最も適した組合せを探し出すこと」です。

これが最もスムーズにできるのは、中学生くらいです。知っている語彙は少ないですが、普段から触れているので覚えています。だから、覚えている英文をそのまま書きます。そのまま書けば間違えようがありません。そして、それができれば十分です。

 


それでは、聞くのはどうかというと、受験勉強でもCDなどを使っていた人は、それなりに耳が鍛えられていますしかし、テキスト(文字)だけで勉強をしていた人はほとんど聞けないか、教科書をゆっくり読まれればわかるくらいのレベルだと思います。聞くことは「頭の中で文字と音を一致させること」です。文字だけの勉強をしてきた人が苦労する点はここです。また、単語なら聞いて理解できるのに、文になると理解できないという人も多いと思います。これは、単語と単語が繋がった時の発音ルールを知らないだけです。一つ一つ発音のルールを耳に覚えこませてゆけば、聞こえるようになります。

 


そして、話すことはどうかというと、これはほとんど経験値ゼロのはずです。これまで外国人と10時間以上話した経験が無ければ、そもそも「英語を話す」とはどういうことかもわかっていません。「話す力」は、「聞く力」とよくセットにされますが、実際には「書く力」に比例します。

 


本当にスラスラと書くことができれば、ペラペラと話すことがそれほど難しいことではありません。話すことは「伝えたいことに最も適した表現を引っ張り出すこと」です。これは「書く」ことと同じです。違うのは音とスピードが必要な点だけです。話している最中に、単語や文法を頭の中でゼロから組合せているわけではありません。すでにある表現を引き出すだけです。これは日本語を話すときと変わりません。

一方で、いくら聞くことができても、その内容を話すことはできるわけではありません。聞いているだけで話せるようにならないのは、読んでいるだけで話せるようになっていないことを考えれば理解できるはずです。

 


<4技能の難易度>
「読む」「書く」「聞く」「話す」のうち、最も難しいのはどれでしょうか?
圧倒的に「話す」です。それくらい日本人が英語を話すことは困難を極めます。日本語とあまりにも違う言語体系をもっているので、仕方がありません。例えば同じ内容の英文の場合で比較した場合はどれですか?

(例):We looked up at all the stars in the sky.

この文を読めない人はいません。しかし、書けるかというと怪しくなります。早く発音されると恐らく何がなんだかわかりません。そして最後に気付くはずです、この文章を見ずに話すことが、どれだけ難しいかを。

easy   「読む」 < 「書く」 < 「話す」   difficult
easy   「読む」 < 「聞く」 < 「話す」   difficult

「読む」と「書く」は10倍の難易度の差があります。「書く」と「話す」も10倍です。そして、「読む」と「聞く」も10倍です。「聞く」と「話す」も10倍です。つまり、「話す」のは「読む」の100倍の難易度です。これは大げさに聞こえるかもしれませんが、決して誇張ではありません。これは英語に限った話ではなく、日本語含めたどの言語にも当てはまる事実です。

それぞれの技能の間には壁があります。


「読む・書く」と「聞く・話す」の間には『音と時間の壁』があります。


「読む・聞く」と「書く・話す」の間には『アウトプットの壁』があります。

 


英語の4技能を習得するためには、この2つの壁が立ちはだかります。ただ壁はありますが、それを攻略する方法はあります。壁を認識せずにひたすらぶつかりつづけても、玉砕するだけです。まず大事なことは、壁を認識することです。

【図表3】英語の4技能の関係

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<重要ポイント>
  ・英語には「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能の間には壁があり、それぞれ別物。
  ・英語は難しい。その中でも「話す」のは一番難しい。
  ・「聞く」と「話す」は全然違う。野球の守備と打撃ほど違う。